2008年04月01日

本遠寺さん見学会

鬼平犯科帳シリーズ(その2)
火付盗賊改方長官 「鬼平」こと長谷川平蔵 実は稀代のギャンブル狂であった。 
“鬼平 半か丁”

本遠寺-0.JPG 
 此処は身延町・大野山本遠寺(ほんのんじ)という名刹です。国重要文化財の本堂と鐘楼が5年の歳月をかけた大規模修復工事ももうすぐ完成ということで、仮設床を取り外す直前の3/26「赤沢宿保存会」で研修見学会を行いました。
本遠寺-1.JPG 本遠寺-2.JPG 本遠寺-3.JPG
 こんなに間近に”桧皮葺き”の実際を見る機会なんてもう二度とないよねー。“美しい〜”の一言。
建築のレベルを超えて工芸作品の世界を見ている様です。今は埃を被っているけれど、仮設屋根が外れて、雨に濡れた桧皮葺きの屋根は実に美しいものですよ、と工事事務所の高木所長は言います。梅雨を迎える頃また見に来よう。
 本遠寺は「お萬さま」の菩提寺なんです。日蓮宗以外の方は知らないでしょうけれど、お萬さまと言えば徳川家康の側室であって御三家の水戸・紀州藩祖の母上にして女人禁制だった山岳密教の聖地七面山への登拝信仰の道を開いた女性。早い話が「水戸黄門のおばあちゃん」。
 熱烈な法華信者であったと同時に、当時本山法主であった「日遠上人」に帰依し、幕府の弾圧を受けた日遠のために本遠寺を開いたのだそうです。創建は慶安三年(1650)。本堂と鐘楼だけが創建当時の建物で、棟札記録や高度な建築技術・意匠などから紀州藩の造営によると考えられると言います。
 皆さんも身延のしだれ桜を見にいくなら、是非此処にも立ち寄って見てください。場所はJR身延駅の富士川対岸の平地にあり住宅地の中です。本堂の裏手に瀬戸内産と思われる御影石がふんだんに用いられたお萬さまの立派な墓所があります。背後の山留め石積みも文化財級の立派な造作なので是非お参りして欲しい処です。

 
桧皮(ひわだorひはだ)葺きについて。
1200年以上の歴史をもつ屋根材・桧皮は、樹齢90年以上の桧の立木から薄皮を残しながら表皮を剥いだものでこれを黒皮といいます。長さ75cm、幅15cm、厚さ1.5〜2.0mmに整形し、3〜400枚まとめて30kgに束ねた単位を1丸、5丸=1駄と言い、ここまでが原皮師or元皮師(もとかわし)の仕事です。実際に屋根を葺くのは桧皮師と言う職人です。桧皮を1枚毎に約1cm間隔でずらしながら竹釘を打って葺重ねていくので、桧皮の重なりは6〜70段、約10cm厚の屋根になります。本遠寺本堂の屋根に は5〜60万枚の桧皮が使用されたのではないでしょうか。岐阜の職人さんが桧皮材料を持ち込んで葺いていましたが量が足りず、富士吉田の浅間神社境内の桧林や七面山登山口の桧などから現地調達したと言います。
本遠寺修復見学会(小)06.8-3.JPG 本遠寺修復見学会06.8-2.JPG
 桧皮葺屋根の寿命は凡そ35年ぐらいといいますが、直射日光や風雨にさらされる屋根の表側が寿命が短いのだそうで、農家などの茅葺き屋根では日陰で湿気がちな裏側が早くダメになるものなんですが、桧皮と茅や葦は同じ植物材料ながら性格は反対であるらしいのです。
樹林の中に苔むした御堂がたたずむ京都の古刹のイメージは、真に風土に根差し理にかなった建築なのだと知るのですねえ。
 400年前の当地の風景を想像してみると、富士川は物資や人々が行き交う交通の動脈であったろう。しかしながら庶民の家は素朴で掘建て柱を残す土座住まいの小さな茅葺きが多かったはずである。建具も満足になかったかもしれない。そうした中に京の最新最高の技術と意匠を備えた「本遠寺」が富士川沿いに出現したのであるから、これはランドマークタワーと赤坂サカスを合体したよりもはるかにインパクトが大きかったに違いない。しかも見る人々の心に畏敬と感動を呼び起こし、人々を引き寄せる光芒を放つ建物であったのではないか?ヨーロッパの聖堂建築に共通しつつも日本人が作り上げた独自な美意識が宿っているように思えるのである。そうでなければ1200年以上にわたって継承できるものではないはずだから。今現代に生きる私たちが見失ったモノなのかもかもしれない。

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posted by ヒコベエ at 01:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 近在 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日話されていたのですね。すごい。
今度、話を聞かせてください。
Posted by いいんちょう at 2008年04月01日 12:10
忙しい中をコメントありがとうございます。
Posted by ひこべえ at 2008年04月02日 23:03
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