2008年01月09日

棟札って何?

大下棟札-1.JPG 最近の住宅建設では地鎮祭とか上棟式などの建築儀礼が形式化し省略されてしまったので知ることも出来ませんし、目にする機会がなくなってしまいましたが、棟札(むなふだ)という言葉を聞いたことあるでしょうか?

ビル建築などの場合は玄関脇に磨石製の「定礎」がありますが、これを棟札の末裔と言うのかもしれません。つまり竣工年月日・施主名・施工者名や祈願文を記した銘板のことです。

伝統的な木造建築では杉桧欅などの板に墨書し、寺社の棟札は縦細長の形で墨書面を保護板で覆うとか木箱に収める処置がされていることが多く、古民家の場合は上記のように煤で文字が読めない状態が多いです。
木造建物を新築する場合、軸組小屋組の骨格が組みあがった段階を工事の大きな節目として、上棟式が行なわれます。その際に棟木中央部辺りか棟束側面にこの銘板を釘で固定します。
その後屋根を架け壁や天井を張り建物が完成してしまうと、日常はまったく人の目に触れることなく建物が存続する限り銘板はそこに在り続け、大修理の際にも新たに銘板が追加されることがあり、「棟札」と呼ばれる由縁でしょうか。

大下棟札-2.JPG赤沢の幾軒かの民家に棟札が残っていますので、「大下主屋」棟札を紹介し解説しましょう。
表書き
右側  天保十一庚子年四月吉日
中央 南妙法蓮華経 王舎城守  日慶(花押)
左側 ○・・・・・授与之赤澤村望月與左衛門者也

裏書き
 高祖御詠
志茂波志羅 氷之多流幾
雪之計多 雨之宇津波利
露之不幾久佐
御棟札  宗孝院 出之者也

裏書は祈願文で上棟式の際、大工棟梁が棟上でモニョモニョと唱える言葉であったりします。
「霜柱 氷の垂木 雪の桁 雨のうつはり 露の葺き草」
うつはり=梁のことで、建築の主要部材を水になぞらえ耐火建物であるという祈願歌です。

この棟札は日蓮宗独特の髭題目曼荼羅本尊を兼ねた様式で他所では見られないこの地域独特の特徴があります。
これを書いたのは旦那寺の赤澤妙福寺住職 宗孝院日慶というお坊さんでした。
 村の記録によれば天保9(1838)年12月14日未明(赤沢)下村17戸類焼。とあり、この原因によって2年後の天保11年新築に至ったと想像できます。

参考までに、日本で最古の棟札といわれるのは中尊寺に蔵する1122年のモノで文字不明瞭で、次が1124年の中尊寺金色堂。民家では1584(天正12)年が最も古いらしいです。建物の建築年代を特定する根拠とし、当時の様子を知る貴重な手がかりになるため古民家の調査などでも最重要資料です。


posted by ヒコベエ at 02:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 町並みと建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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